補聴器販売店の実態

これからの高齢化社会、補聴器の普及率が伸びることは間違いないと思います。しかしながら、専門的な知識を有した、良心的な販売店は極めて少ないのが実情です。

補聴器販売店の実情を赤裸々に語ることで、これから補聴器の装用を検討している方々の、参考になれればと思っています。

初成約

D支店では補聴器に関すること以外にも、発注の仕方や在庫管理、帳簿記入の方法など、実際に店舗を運営するために必要な知識も学びました。


そして、三週間が過ぎた頃、本社より「欠員が出たE支店に、店番として入るように」との指示が出ました。いよいよ、実際に店頭に立つこととなったのです。


そのE支店は売上が伸びず、前任者は一年ほどで解雇されたようでした。

私はまだ研修期間でしたが、その頃には先輩の話の端々から、この会社の体質のようなものを薄々と感じていました。


この東洋補聴器(仮称)という会社は「ノルマなし」と謳ってはいるが、実際には成績が悪いと即日解雇も当たり前でした。でも、自分がこれから働いていく会社の悪い面を見ても仕方がないので、なるべく、そういったマイナスな情報は、あまり気にしないようにしていました。


私がE支店に入って数日後、新規のお客様が来店されました。お祖母さんと息子さんの二人連れです。そして結果的には、片耳分の1台だけでしたが、15万円の補聴器の注文を頂きました。オーダーメイドの耳穴型補聴器です。


補聴器の中では一番安いものでしたが、営業職に転身してから初めての売上でしたので、ぞくぞくするような興奮と、感動をおぼえました。


その後私は、このE店で二週間ほど勤務しましたが、その間に4台の補聴器を販売しました。金額にしておよそ60万円です。


それまでは正直、不安の方が大きかったのですが、実際に売れたことで、やっと手応えのようなものを感じ始めました。


その後も研修は続き、私が実際に地元に戻って勤務に就いたのは4月上旬、入社してから三カ月が経過した後でした。


しかし、三カ月勉強したとはいっても、まだまだ初心者です。結局のところは現場で経験を積み、数をこなしていくことでしか、本当の自信は生まれないのです。


でも、いまにして振り返ってみれば、三カ月もの研修期間を設けてくれたのは東洋補聴器だけでした。私が経験した三つの補聴器専門店の中では、一番研修に力を入れていたように感じます。


他の二社は「研修」と呼べるような期間は10日~二週間程度しかありませんでした。それはもちろん、私が経験者だったというのもありますが、未経験から入った人でも大差はないようでした。基本だけ教えてもらうと、いきなり現場に放り出されるという感じだったのです。

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