補聴器販売店の実態

これからの高齢化社会、補聴器の普及率が伸びることは間違いないと思います。しかしながら、専門的な知識を有した、良心的な販売店は極めて少ないのが実情です。

補聴器販売店の実情を赤裸々に語ることで、これから補聴器の装用を検討している方々の、参考になれればと思っています。

研修スタート

JR、新幹線と乗り継いで、私は中部地方のC市に辿りつきました。
電車を降りてから、事前に渡された地図を頼りに歩いていくと、東洋補聴器の支店が見えてきました。


私は元々、大変な人見知りです。緊張と不安で顔を引きつらせながら、支店の扉を叩きました。


今回の研修生は私と、木元さんという男性、そして佐藤さんという女性の三名でした。そして、このC支店の店長が、研修の責任者でした。


つまり、研修所といっても、何か特別な施設があるわけではなくて、既存の支店で研修を行うのです。そして、研修生の寮というのは、C支店の上階の空き部屋でした。


同期生となる木元さんも佐藤さんも、穏やかで良い人だったので、私は胸をなでおろしました。そして、翌日から早速、補聴器の勉強が始まりました。


私が想像していた以上に、学ぶことは多くありました。
まずは、「音」の性質。そして耳の構造や言葉を理解する仕組みを学び、それから補聴器についての学習に入りました。


同時に実習も行います。
補聴器の扱い方から掃除、点検、調整のやり方などです。
中でも、一番重要なのが、「耳型採取」の練習でした。


耳穴の形というのは、指紋と同じで千差万別です。
入れ歯を通信販売で買うことがあり得ないように、補聴器も、耳にピッタリ合ったものを作るためには、耳型の採取は必須です。


なので、良い補聴器を作るためには、上手に耳型を採る技術が必要となります。これは、研修生同士がお互いの耳を貸しあいながら、何度も繰り返し練習しました。


しかし、女性の同期生の佐藤さんは、一週間ほどで辞めてしまいました。
あまりにも憶えることが多すぎて、嫌になってしまったようです。


私と木元さんは、励まし合いながら研修を続けました。
そして三週間が過ぎた頃、基礎研修を終えた私達は、それぞれ別の研修場所へと配属されることになりました。


今度はいよいよ、顧客の多い店舗で、実際に接客をしながら実務を学んでいくのです。


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