補聴器販売店の実態

これからの高齢化社会、補聴器の普及率が伸びることは間違いないと思います。しかしながら、専門的な知識を有した、良心的な販売店は極めて少ないのが実情です。

補聴器販売店の実情を赤裸々に語ることで、これから補聴器の装用を検討している方々の、参考になれればと思っています。

実践研修

私が配属されたのは、東北地方のD支店でした。基礎研修を行ったC支店と比べると、顧客が多く忙しいので、実際に使われている補聴器に触れる機会が増え、簡単な調整を任せられることもありました。


ところで、ここで一つ、補聴器の調整について述べたいと思います。


現在、補聴器は専門店以外の眼鏡店や電器店、ドラッグストア等での取り扱いが増えています。そして、その中でも「眼鏡店」で補聴器を買う人は、かなりの数にのぼります。


ある程度の年齢になると誰でも老眼になるので、いきつけの眼鏡店がある人は多いでしょうし、そこで補聴器を取り扱っていれば、通い慣れているという安心感から、そこで補聴器を作ろうと考えるのも、いたし方のないことかもしれません。


でも、不思議に思いませんか?
眼鏡店の専門は「目」です。「耳」とは何の関係もありません。
極端な例えをすれば、耳が悪くなったのに、耳鼻科ではなく眼科へ行くようなものです。


もちろん、眼鏡店の販売員の方は、普通の人より手先は器用でしょうが、眼鏡店で補聴器を取り扱うのに、正当な理由などは何もないのです。


要は「儲かるから売る」という、それだけです。


でも、眼鏡店が補聴器を販売することを一概に批判はできません。
補聴器専門店は、商圏にある程度の人口規模がないと成り立たないので、どうしても都市周辺に集中します。店舗の数が、眼鏡店とは比べものにならないくらい少ないのです。


補聴器は、購入後にも、調整とか掃除とかのメンテナンスが必要ですから、購入店が遠方だと非常に不便です。自宅近くの眼鏡店で補聴器を買ってしまうのも、無理はありません。


ただ、私の経験から言わせて頂きますと、眼鏡店で補聴器を買われたお客様の満足度は、非常に低いように感じます。


例を上げますと、
・聴力に合っていない補聴器を買わされた。
・イヤモールド(オーダーメイドの耳栓)を作らず、既成の耳栓(イヤチップ)のまま販売するので、耳にピッタリ合わず外れてくる。
・音が合わなくても調整ができない、してくれない。
・メーカーの人が来てくれる日でないと、常駐している店員では、ほとんど補聴器のことが分からない。
というような話は、数えきれないほど耳にしてきました。


これらの不満は特に、大手チェーンの眼鏡店で多いように感じました。
補聴器は単価が高いですから、1台売れれば眼鏡数個~10個以上の売上になります。そのため、補聴器の知識に乏しくても、とにかく売ろうとするのだと思います。


しかし「売らんがため」なのは、補聴器専門店も一緒です。
ただ、専門店は補聴器が「専門」ですから、扱う顧客の数が違います。そのため、経験によって自然と知識や技能が高まっていきますので、眼鏡店などの兼業店よりも、顧客の状態に応じた、適切な対応をしてくれる可能性は高いのです。


なので、どうせ高いお金を出して補聴器を買うのなら、専門店の方が良いのは間違いありません。眼鏡店などの兼業店で数十万円の補聴器をつくるのは、あまりにもリスクが高いと思います。


とは言っても、専門店にも、お年寄りを「単なる金づる」としか考えていない店もありますから、前にも言いましたように、いかに良心的な店、販売員と出会えるかが大切になってくるのです。

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